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戦隊ヒーローとブランドカラー

9月15日
読了時間: 6分

更新日:10月11日

──リーダーはなぜ赤なのか、ガッチャマンはなぜ白だったのか


私は少年期から青年期まで、ときどき戦隊ものを見ながら、ずっと一つの疑問を抱いていました。「なぜ、リーダーはいつも赤なのか」と。

いや、赤が嫌いなわけではありません。むしろ逆です。もし私が戦隊に配属されるなら、間違いなくレッドを希望します。出動の号令も、決めゼリフも、最後に笑うのもだいたいレッド。しかし、そうなると当然、次の疑問が浮かびます。あの赤は、ただ“一番目立つ色”だから選ばれたのか。それなら、オレンジでも黄色でもよかったはずです。

今回はこの話を、ブランド戦略の「ブランドパーソナリティ」そして「ブランドカラー」という視点で考えてみたいと思います。戦隊ヒーローから始めて、最後に自社を象徴する色にたどり着く。少し回りくどい構成ですが、お付き合いください。


ブランドを人に例えた性格が、色を決める


「ブランドアイデンティティ」という概念があります。ブランド云々と似たような言葉が続き申し訳ありません。ただ結構重要なものです。

回りくどいついでに、ここから入らせてください。

「ブランドアイデンティティ」と聞くと、ついロゴやキャッチコピーの話だと思われがちです。ですが本来はもっと体系的で、PMVVから、ブランドパーソナリティ(人格)、表現要素、体験接点までを一貫させた「ブランドの自己定義」を指すものだと私は考えています。

このうち「ブランドパーソナリティ」は、ブランドの個性を人間の人格として例えたもの。これを明確にすると価値提供の効果が増幅され、共感が加速します。そして大事なのは、ここで決めた人格が、そのままロゴ、書体、語り口、そして「カラー」という表現要素の規定につながるという点です。

私はセミナーで、色と人格の対応をよく紹介しています。赤のイメージワードは、活動的、情熱、積極的、外向性、闘争心、注意、活気、勇敢、挑戦、生命、革命、力。代表的な企業ブランドはUNIQLOです。

並べてみると、お分かりいただけると思います。闘争心、勇敢、挑戦、生命、力。戦隊のリーダーに必要な形容詞が、ほぼ全部そろっている。

つまりリーダーが赤いのは、色の話である前に、人格設計の話なのではないか。あの赤は「目立つ色」ではなく、「そういう人格の表現要素」だった。

事実は知りませんが、そう考えると勝手に納得できます。

ちなみに赤は「注意」の色でもあります。道路標識も警告も赤です。つまりレッドは、一番目立つ色であると同時に、一番怒られる色でもある。リーダーとはそういうものだと思います。勝手にそう思います。


他の色たちも、実は役割が決まっている


色の役割分担は、私たちが知っている戦隊の話と驚くほど重なります。

青は清潔、クール、誠実、知的で、戦隊では冷静なサブリーダー。緑は穏やか、癒やし、安全、安心。ピンクはかわいい、愛情、優しい。白は純粋、清潔、神聖、浄化。私たちが「あの色のキャラ」に期待する性格と、ほぼ一致します。子どもは誰に教わるでもなく、色から人格を読んでいるわけです。

色は、説明されないからこそ記憶に残る。侮れない表現要素です。

とくに黄色は分かりやすい。明るい、楽しい、元気、素直、好奇心、幸福。そして戦隊でいえば、かなりの確率で三枚目です。真面目な青の隣で空気をゆるめ、いちばん笑いを取り、ときに敵の注意をひとりで引き受ける。会社で言えば、会議を重くしない人が必ず一人いる、あの立ち位置です。社食では必ずカレーを誰よりも好んで食べています。

配役が色で決まっている。ブランドパーソナリティの設計とは、この配役表を先に言葉にしておく作業にほかなりません。


ところで、ガッチャマンである


ここで一つ、どうしても触れなければならない例外があります。

1972年の「科学忍者隊ガッチャマン」。リーダー、大鷲の健は白です。

G-1号、メインカラーは白。赤ではありません。

白のイメージワードは、純粋、清潔、平和、美しい、新しい、神聖、潔白、浄化。どれ一つとして闘争的ではありません。つまりガッチャマンのリーダーは、「闘争心の塊」として先頭に立つのではなく、全員の色がいちばん映える背景として立っている。


凄い話をします。


実は「ガッチャマン」とは大鷲の健だけで、他の4人はただの「科学忍者隊の隊員」だけだったということです。

「4人の科学忍者隊 + 1人のガッチャマン」

この驚愕の真実は、大鷲の健が隊員4人の背景として全員を鼓舞するように立っている、という私の解釈と完全に符号します。(もちろん強引です)

いずれにしても白は、他のどの色も受け止められる色です。リーダーの人格のつくり方として、これはかなり高度です。

さらに言えば、白は一番汚れが目立つ色です。リーダーが、チームでいちばん汚れが目立つ色を着ている。泣けます。

ただ、そんな大鷲の健でも、白いマントの裏地は赤なのです。なかなか唸らせてくれます。

なお、今更ですが、1975年の「秘密戦隊ゴレンジャー」でアカレンジャーがリーダーになった理由は、一説には、「子どもに好きな色を聞いたら赤が圧倒的に人気だったから」だそうです。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

理屈の前に市場が決めていた。ブランドカラーの決まり方として、これはこれで、なかなか本質的です。


経営者が「色」から気づけること


前置きがかなり長くなりましたが、ここからが本題です。経営者にとって、この話は3つのヒントになります。

ひとつ目は、色を最後に決めないこと。

ブランドを考えるとき、提供価値やパーパス、ビジョン、バリュー、ネーミング等は真剣に議論されます。ところが色は、いちばん最後に「なんとなく赤でいいんじゃない」と決まりがちです。順番が逆です。自社のブランドパーソナリティを形容詞で書き出し、その形容詞に効く色を選ぶ。赤を選ぶなら、なぜ赤なのかを言葉で説明できる状態にしておく。

ふたつ目は、色は資産だという認識です。

セミナーでもお伝えしていますが、長年かけて蓄積したブランドの認知資産(ロゴ、デザイン、色、形状)を一気に刷新すると、顧客の記憶が消えます。赤を青にした瞬間、看板は新しくなりますが、お客さんの頭の中の引き出しは空になります。

リブランディングの地雷は、だいたいここで踏まれます。

みっつ目は、その色を社員が説明できるか、です。

「なぜうちのロゴはこの色なんですか」と聞かれて即答できる。それで初めて、色は資産になります。答えられない色は、まだ塗装でしかありません。


戦隊ヒーローの色分けは、50年かけて生活者に刷り込まれた、非常に強いブランド表現です。

誰も「レッドは闘争心の象徴です」なんて説明していない。それでも、私たちはレッドを見ればリーダーだと思う。イエローを見たら何となく頬が緩みます。説明しなくても伝わるから強い。だからこそ、色は後回しにしないでください。

あなたの会社の色は、あなたの会社の人格です。

なお、私は今でも、もし戦隊に入れるならレッドを希望します。たぶん選ばれませんが。

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